雨の夜に何かがやって来る。
コンドウ家がすっかり眠りに落ちた午後10時頃。
今日もガタガタと犬たちが騒ぎ出した。
ワンワンワン!
うるさいなぁ。
すると、キョーンキョーンだか、ケーンケーンだか激しい鳴き声。
何だろ。
鳴き声はどんどん山の方へ遠ざかっていった。
最初は武士かな?と思った。
武士じゃない?
そうだよ。武士だよ。
うちのまん前にある山には昔、お城があったから。
古い家に住んでいるとこういうことが自然と受け入れられる。
きっと、また武士だよ。
…と、気にしないでまた眠る。
でも、違っていた。
ある次の日には、ニワトリが2羽さらわれていたし、タロが標本にしようと埋めておいた鹿とイノシシの頭が掘り返されていた日もあったから。
何かなぁ。
ご近所のおじいちゃんに聞くと、「キツネかタヌキじゃわい。」と教えてくれた。
去年の春はこんなに騒がしく無かったから、山の動物たちが増えたのかな。
畑の野菜狙われるなぁ。
クミコ